最近のミラーレスカメラの普及に伴い、ストロボも小型化・軽量化が進んでいます。特に「持ち運びやすさを重視したいけど、本格的な機能は譲れない」という悩みを抱えるフォトグラファーが増えています。
今回レビューするのは、そんな現代のニーズに応えるGodoxの新型クリップオンストロボ「V480」です。
Sony α7IVをメイン機として、これまでイベント撮影の現場でTT600やAD200、AD100を使ってきた自分が、実際に1ヶ月使用して感じたコンパクトさと機能性の絶妙なバランスについて詳しくご紹介します。
ポイント
・内蔵バッテリー式でType-C充電対応
・タッチパネル操作で直感的な設定変更が可能
・TTL自動調光とワイヤレス機能を標準装備
・LEDビデオライト機能も搭載した多機能性
・ミラーレス機との相性抜群のコンパクトサイズ
・Canon、Nikon、Sony、Fujifilm、Olympus各社対応モデルを展開
目次
01. Godox V480 製品概要とスペック
Godox V480は、2025年に発売された小型軽量TTL対応クリップオンストロボです。従来のGodox製品の優れたコストパフォーマンスはそのままに、いまのミラーレス環境に最適化された仕様となっています。
外観はシンプルでスッキリとしたデザインで、ミラーレスカメラと組み合わせてもバランスの良いサイズ感を実現。
ストロボヘッドは前後・左右にしっかりと可動し、後ろ方向へのバウンスも可能なので、天井反射撮影も楽々こなせます。
また装着する際にもリングのダイヤルで締める形でなく、ボタンを回してロックする形状になっているので脱着も簡単です。
Godox V480 製品仕様 | |
商品モデル | Godox V480 |
サイズ | 約65×95×150mm |
重量 | 約320g(本体のみ) |
電源 | 内蔵リチウムイオンバッテリー(7.2V/2200mAh) |
充電方式 | USB Type-C |
ガイドナンバー | 50(ISO100、85mm時) |
照射角度 | 24-85mm(手動ズーム) |
チルト角度 | -5°~+90° |
スイベル角度 | 左右330° |
発光回数 | 約650回(フル発光時) |
チャージタイム | 約1.7秒(フル発光後) |
対応機種 | Canon、Nikon、Sony、Fujifilm、Olympus |
ポイント
2025年発売の最新モデルで、現在の価格は約25,000円~28,000円程度。同クラスの純正ストロボと比較すると半額以下の価格帯となっており、Godoxらしいコストパフォーマンスの高さが光ります。
02. コンパクトボディに詰まった本格機能
ミラーレスに最適化されたサイズ感
V480の最大の魅力は、ミラーレスカメラにジャストフィットするコンパクトなボディサイズです。自分のメイン機であるSony α7IVに装着した際のバランスが非常に良く、従来使用していたエントリーモデルのストロボGodox TT600と並べてみても、一回り以上コンパクトで、重量も約100g軽量化されています。
使用シーン
・イベント会場での長時間撮影
・結婚式やパーティーでの機動的な撮影
・旅行先でのポートレート撮影
・商品撮影やブツ撮りでの補助光として
・学校行事や発表会での記録撮影
内蔵バッテリー式の利便性
従来の乾電池式と違い、Type-C充電対応の内蔵バッテリーを採用している点も大きなメリットです。撮影現場で乾電池を持ち歩く必要がなく、モバイルバッテリーからも充電可能なため、長時間の撮影でも安心して使用できます。
フル充電時の発光回数は約650回で、一般的なイベント撮影なら十分な容量。充電時間は約3時間程度で、撮影前日に充電しておけば一日中使用できます。
TTL自動調光の精度
TTL(Through The Lens)自動調光機能の精度も向上しており、急な明るさの変化があるような現場でも適切な露出を自動で調整してくれます。マニュアル発光も1/256から1/1まで、1/10ステップで細かく調整可能で、ガイドナンバー50の十分な光量を誇ります。

03. タッチパネル操作と使い勝手の良さ
直感的なタッチ操作
V480の大きな特徴の一つがタッチモニター対応である点です。従来のボタン操作に加えて、設定画面を直接タップして操作できるため、暗い現場でも素早い設定変更が可能になりました。
光量調整は画面上のスライダーで直感的におこなえ、発光モードの切り替えも一目で分かります。また、設定画面は英語と中国語の対応となります。
豊富な発光モード
V480は以下の発光モードに対応しています:
TTLモード: カメラの測光に合わせた自動調光
マニュアルモード: 1/256~1/1まで細かく調整可能
マルチ発光モード: 連続発光による多重露光効果
ハイスピードシンクロ: 1/8000秒までの高速シャッターに対応
特にハイスピードシンクロ機能は、日中の屋外撮影で大口径レンズを開放で使いたい時に重宝します。
操作性とメニュー構成
メニュー構成はシンプルで分かりやすく設計されており、ストロボ初心者でも迷うことなく操作できます。
左スライドでワイヤレス撮影などのモード切り替え、上スライドでハイスピードシンクロなどの機能とよく使う設定にもアクセスしやすい構成になっています。

04. ワイヤレス撮影とLEDライト機能
本格的なワイヤレス機能
V480は2.4GHz帯を使用したワイヤレス撮影に対応しており、送信機(マスター)としても受信機(スレーブ)としても使用できます。チャンネルやID設定も可能なので、他のカメラマンと混在するような大規模イベントでも誤発光を防止できます。

ワイヤレス撮影時の通信距離は約100mで、一般的な撮影現場では十分な範囲をカバーします。また、マスター機として他のGodox製ストロボをコントロールすることも可能で、多灯ライティングシステムの中核として活用できます。
X-Pro系のコマンダーが故障した際の緊急時バックアップや、サブ機としての運用も想定できる柔軟性の高さが魅力です。
LEDビデオライト機能
ストロボの前面にはLEDライトが搭載されており、動画撮影時のビデオライトとしても使用可能です。光量調整は10段階で可能で、色温度は約5600Kの昼光色に設定されています。
使用シーン
・商品撮影時の補助照明として
・動画撮影での定常光ライトとして
・暗い場所でのピント合わせ補助光として
・ポートレート撮影でのキャッチライト用途
・イベント撮影での会場確認用ライトとして
多彩なアクセサリー対応
V480は標準的なストロボアクセサリーに対応しており、以下のような機材と組み合わせて使用できます:
ソフトボックス各種
アンブレラ(反射・透過)
グリッド・ハニカム
カラーフィルター
ディフューザー

05. 所有している他のGodoxストロボとの比較検討
Godox AD200・AD100との使い分け
V480導入前は、ポータブルストロボのAD200や小型のAD100を現場に応じて使い分けていました。ただし、これらはクリップオンストロボとは使用方法が大きく異なっています。
AD200の使用方法
・ライトスタンド設置による無線発光が基本
・スタジオ撮影などでメインストロボとして活用
・強力な光量(200Ws)で本格的なライティングが可能
・セッティングに時間をかけられる撮影向け
AD200の詳細は下記記事で紹介しています。 ポートレートやコスプレなどの人物撮りの撮影に力を入れようとした際に、まずは整えるアイテムの筆頭にストロボがあります。 Sonyのα7IIIに買い換えた際に使えるストロボがなかったのもあり、最初はGod ... 続きを見る
Godox AD200 レビュー | ポートレートにおすすめのモノブロックストロボ
AD100の使用方法
・ライトスタンドでのサブライトとして使用
・装備を軽くしたい際の軽量ライティング
・自撮り棒などを活用した手持ち発光にも対応
・補助光や効果光として重宝
またAD100 Proの詳細についても下記記事で紹介しています。 ストロボを使った撮影では、私はGodox製品をメインに使っており、現在は「Godox AD200」を中心に愛用しています。 使い勝手や発光量、アクセサリーの豊富さもあり、とても満足していますが、 「も ... 続きを見る
Godox AD100 Pro レビュー|AD200とのストロボ比較も紹介
V480の使用方法
・ライトスタンドが使えない環境での撮影
・光の変化が多い現場でのTTL撮影
・ストロボセッティングに時間をかけられない際の気軽な撮影
・仕事用途でのイベント撮影やスナップ撮影
AD200とAD100はスタジオ撮影などの本格的に撮影したい際に、V480は機動性重視のクリップオンストロボとして、それぞれ明確に役割を分けて使っています。
ただV480も使い勝手の良さから多灯ライティングに組み込みやすいので、スタジオ撮影でも3灯目、4灯目として活躍しています。

Godox TT600との比較
また従来使用していたクリップオンストロボのTT600とも簡単ながら比較してみます。
V480 vs TT600 比較表 | ||
項目 | V480 | TT600 |
サイズ | コンパクト | やや大型 |
重量 | 約320g | 約410g |
ガイドナンバー | 50 | 60 |
電源 | 内蔵バッテリー | 単3電池×4本 |
TTL | 対応 | 非対応 |
ID設定L | 対応 | 非対応 |
タッチパネル | 対応 | 非対応 |
LEDライト | 搭載 | なし |
価格 | 約25,000円 | 約8,000円 |
TT600はコスパに優れている優秀なストロボですが、V480を使い始めてからは「やっぱりTTLとタッチパネルは便利だな」と実感する場面が多いです。
価格差はありますが、それに見合う価値は十分にあると思います。

06. 購入時に悩んだV860IIIとV1 Proとの比較
新しいクリップオンストロボが欲しくて検討していた際、最終的にV480、V860III、V1 Proの3機種で悩みました。
利用用途はイベント撮影などの仕事で使うことがメインで、シチュエーションが頻繁に変わるためTTL対応は必須条件でした。
V860IIIとの比較検討
V860IIIの特徴:
・ガイドナンバー60でV480(GN50)より強力な発光
・より大容量のバッテリー(約480回発光)
・2021年発売モデルで実績と信頼性は高い
・重量約430gでやや重め
V480を選んだ理由:
・α7IVとのバランスの良さ
・Type-C充電の利便性
・タッチパネル操作の快適さ
・レビューでV860IIIからV480に買い替える人が多かった

V1 Proとの比較検討
V1 Proの特徴:
・丸型ヘッドによる自然な光の回り方
・ポートレート撮影に最適化された設計
・V860IIIと同等の光量とスペック
・専用アクセサリーの豊富さ
V480を選んだ理由:
・汎用性の高さ(ポートレートから集合写真まで対応)
・集合写真などの広角撮影では四角型の方が広く光が回る
・従来型のキャッチライトパネル、ワイドパネルが付いている
・使い勝手の良さを重視した結果
V1 Proは確かにポートレート撮影には最適ですが、イベント撮影では集合写真も多く撮る必要があります。広角での撮影を考えると、四角型のV480の方が光の回り方が均一で実用的でした。
最終的な判断
スペック面ではV860IIIとV1 Proもほぼ同等でしたが、以下の点でV480に決めました:
携帯性: α7IVとの組み合わせで疲れにくい
操作性: タッチパネルによる直感的な操作
汎用性: ポートレートから集合写真まで幅広く対応

07. 実際の撮影現場での使用感レビュー
イベント撮影での実用性
実際に複数のイベント撮影で V480 を使用してみました。懇親会、地域のお祭りなど、様々なシーンで活用した結果をレポートします。
◎ 良かった点:
・長時間撮影でも疲れにくい軽量性
・会場の明るさ変化に対するTTLの追従性
・バッテリーの持ちの良さ
・天井バウンスが楽におこなえる可動範囲
△ 気になった点:
・大型会場では光量がやや不足する場面もあり
・連続発光時のチャージ間隔がやや長め
・タッチパネルが指紋で汚れやすい

ポートレート撮影での使用感
屋外でのポートレートやコスプレ撮影にも積極的に活用しました。
使用パターン:
・日中シンクロでの逆光補正
・夕方の自然光とのミックス
・室内でのバウンス撮影
・LEDライトを使ったピント合わせ
撮影結果:
・自然な肌の色再現
・適度なキャッチライト効果
・影の持ち上げが自然
・HSS使用時も十分な光量を確保
ワイヤレス撮影でライトスタンドに付けたAD100をメイン光、カメラに付けたV480を正面からの補助光と2灯使った撮影も手軽におこなえたのはかなり良かったポイントです。
特に日中の屋外撮影では、ハイスピードシンクロ機能もやはり便利。開放F値での撮影でも、被写体をしっかりと照らすことができました。
08. まとめ
Godox V480 を1ヶ月ほど使用してみた結論として、ミラーレス時代の理想的なストロボと評価できます。
コンパクトさと機能性のバランスが絶妙で、幅広い撮影シーンで活躍してくれる頼れる相棒になりました。
製品の魅力
・Sony α7IVをはじめとするミラーレス機にマッチするコンパクトサイズ
・Type-C充電による高い利便性
・タッチパネル操作の直感性
・TTL自動調光の精度の高さ
・ワイヤレス機能とLEDライトの多機能性
・優れたコストパフォーマンス
・各カメラメーカー対応モデルの豊富さ
特におすすめしたい方:
・Sony α7シリーズなどミラーレスでコンパクトなTTL対応ストロボを探している方
・軽量で扱いやすく、操作性の高いモデルが欲しい方
・サブ機やワイヤレスマスターとしても使いたい方
・LEDライト付きで動画撮影にも対応したい方
・初めての本格ストロボとして検討している方
V480 は Godox らしい高いコストパフォーマンスを維持しながら、現代の撮影スタイルに合わせて進化した優秀な一台と言えます。
持ち運びや使い勝手の面でも満足度が高く、メインストロボとしてもサブストロボとしても十分に活躍してくれます。
これからストロボ撮影を始めたい方、機材の軽量化を検討している方にとって、V480 は非常に魅力的な選択肢になるはずです。
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