自分は趣味の1つで、配信者と視聴者がリアルタイムでコミュニケーションが取れるライブ配信サービスのTwitCastin、通称ツイキャスをやっています。
雑談の音声配信がメインではありますが「いろいろ面白い配信できないかな?」と思い、PC画面やHDMIを経由したカメラやゲーム機器を使った配信を可能とする無料の配信サポートツールOBS Studioを使い、ゲーム配信や一眼レフを使った高画質な動画配信と言う名の飲み配信などもやっています。
そんな実験好きな自分が今回ふと思ったのが「VRゴーグルのMetaQuest2を使ってツイキャスやYoutubeでVRゲームのライブ配信ってできるのかな?」でした。
MetaQuest2がどんなVRゴーグルかは下記の記事で紹介しています。 Facebookの傘下であるOculusから新しく発売された最新型のVRゴーグル、OculusQuest2を発売日に合わせて購入しました。 携帯をゴーグルにはめて使う簡易的なVRゴーグルしか使ったこと ... 続きを見る
MetaQuest2 レビュー | はじめてのVR体験におすすめのVRゴーグル
気になったのなら試してみよう!実験だ!と言うことで、今回は実際に自分がライブ配信システムのツイキャスを例にしてMetaQuest2で試したVRゲームのライブ配信のやり方や方法について説明、解説していきます。
MetaQuest3が23年10月10日から販売!
新型のVRゴーグルMetaQuest3が新しく発売されました!
スペック、新機能については下の記事で紹介しています。
最新VRゴーグルMetaQuest3の全貌!MetaQuest2との比較と新機能
Metaが販売するVRゴーグルでMetaQuest2(メタクエスト2)がありますが、今回新しく最新型のMetaQuest3の発売が決定しました。 従来のMetaQuest2は2020年10月に販売され ...
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目次
VRゲームの映像とプレイ中の映像を見せたライブ配信
最初に今回想定した目的のゴール地点について説明します。
目的は「ツイキャスのゲーム配信で、VRのMetaQuest2のゲーム中の動画とプレイ中の自分を両方見てもらいながら、視聴者ともコメントのやりとりができる環境を作る」になります。
YoutubeでVRのプレイ動画を録画し編集し配信してるYoutuberの方は知っていますが、ライブ配信では個人的に見た覚えがなかったのでやってみようと思い立ったわけです。
しかし何点か自分がやったことがない不明なポイントがありました。その懸念点は下記の通り。
- MetaQuest2を無線接続でパソコンにミラーリングできる?
- VR画面と、動いてる自分の動画(一眼レフで撮影)を同時に表示できる?
- 背景を消すクロマキー合成をしたことないけどもできる?
- ゴーグルを被りっぱなしで視聴者とコミュニケーションはできる?
特に気になるのは4つめの視聴者とのコミュニケーションです。
ゴーグルを被りっぱなしになるのでコメントを目で確認することができないので耳に頼ることになります。
しかしこれらの点ですが、結論から言うとすべて解決したうえで実装することができました。
今回のツイキャスライブ配信で必要なもの一覧
目標となる配信の説明をしましたので、詳細の説明前に今回使った機材やソフトについて一覧で紹介していきます。
必要機材
- パソコン 2台(配信用・コメント読み上げ再生用)
- MetaQuest2
- Bluetoothイヤホン 2個(コメント読み上げ用・ゲーム音楽用)
推奨機材
- HDMIキャプチャーボード(プレイ動画取り込み用)
- HDMIケーブル
- ミラーレス一眼カメラ(使用機材:Sony α7Ⅲ)
- カメラ用三脚
- 単一方向性 外付けマイク(配信中の音声取り込み)
- クロマキー合成用 グリーンバック(背景を消したい場合)
必要ソフト ※すべて無料のフリーウェア
- OBS Studio(ゲーム配信には必須)
- 棒読みちゃん(文章を音声合成で読み上げ)
- ツイキャスコメントビューアー(書き込みコメントを閲覧)
配信に必要なモノと、無くても配信の形にはなる推奨のモノで分けてみました。
ポイント
特にプレイ動画の取り込みはWebカメラでも代用ができるので準備もコスト面でもハードルは下げれます。
ただせっかく機材があるなら高画質で配信したいのが人情…!
今回は推奨機材も含めて使用し配信したので、ご紹介する設定方法も推奨機材を含めて解説していきます。
Step1.MetaQuest2でのミラーリング設定
VRゲームのプレイ自体はPC接続不要の単独型VRゴーグルMetaQuest2を利用します。
しかしゲーム映像をツイキャスでライブ配信するためには配信用パソコンにインストールしたソフト「OBS Studio」に設定するため、MetaQuest2の映像をパソコンに接続し取り込む必要があります。
その際に使える機能がMetaQuest2に搭載されているミラーリング機能です。
パソコンのブラウザソフトのGoogle Chromeにはミラーリングの受信側として接続できる機能が搭載されており、これを設定することで無線接続で映像を共有することができます。
ポイント
ミラーリングした映像や音は少し遅延があり共有表示、再生されます。
ミラーリングの設定方法は配信用パソコンのGoogle Chromeでオキュラス公式サイトのミラーリングページに移動します。
パソコン側でページを表示させた後に、MetaQuest2を起動させユニバーサルメニューの「シェア」から「ミラーリング」を選択。
その後ミラーリング先の情報が表示されるのでコンピューターを選択します。
各種確認画面が表示されます。選択し進むことでパソコン側にMetaQuest2の画面が表示されます。
その後、映像画面を全画面再生にしてください。
ポイント
ミラーリングを開始しても音量がでない場合があります。パソコン側のVR表示画面内でミュートになっている可能性があるので設定をおこなってください。
Step2.OBS Studioの配信設定
OBS Studioでパソコンに共有できたMetaQuest2のミラーリング画面を表示できるよう設定します。
OBS Studioを起動させた後、ツイキャスでゲームズ配信をおこなうために必要な基本設定をおこないます。
OBS Studioのダウンロード方法、ツイキャスで配信する際の基本設定については下記にてまとめていますので設定がまだな方はこちらの記事をご確認ください。
OBSでツイキャスを配信する設定・使い方【ゲーム配信・一眼レフカメラ接続】
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ポイント
すでにOBS Studioで他の配信もしている場合は設定の切り替えがすぐできるようにメニューの「シーンコレクション」から新規でVR配信用のシーンを作成したほうが管理や切り替えがしやすくおすすめです。
共有したミラーリング画面の設定
MetaQuest2の共有画面はGoogleChromeで表示されているので、「ソース」のプラスボタンの追加で「ウインドウキャプチャー」を選択し、ウィンドウで「Chrome.exe」を選択してください。
ポイント
Step1で全画面再生にしたことで配信中や都度配信事での表示エリアのズレなどの不具合が少なくなります。
これでミラーリングで共有したVRゴーグル上での画面が表示されるので表示エリアを拡大縮小し調整してください。
マイクの設定
「ソース」の追加で「音声入力キャプチャ」を選択。その後デバイスでパソコンに設定しているマイクを選択します。
ここで設定したマイクでプレイ中の自分の音声を読み取り配信します。
VRゲームでビートセイバーなど動きが大きいゲームをプレイする場合、ある程度のプレイエリアの確保が必要となりマイクとの距離も自然とあくので、一定方向の音声を拾いやすくする単一方向性のマイクにするとおすすめです。
配信画面へのコメント表示方法
ツイキャスのゲームズ配信内にある「コメントを配信画面に表示」にある文字列をコピー。
OBS Studioの「ソース」の追加で「ブラウザ」を選択し、URLの項目にコピーしたURLをペーストすることでコメントを配置することができます。
Step3.コメントの音声読み上げ設定(2台目のパソコンへ実施)
一番の課題となるライブ配信中の視聴者とのコメント対応ですが、配信中はゴーグルを終始被っているので文字の確認ができないので、コメント対応は音声の読み上げをBluetoothイヤホンを通じて確認できるようにします。
ツイキャスのコメントをパソコンで機械音声で読み上げる設定をするためには、無料のフリーウェア「棒読みちゃん」と「ツイキャスコメントビューアー」を組み合わせて使うことで実装できます。
ポイント
ツイキャスコメントビューアーでコメントを取得し、棒読みちゃんで取得したコメントを読み上げる、という組み合わせとなります。
またこの設定を1台目の配信用パソコンで設定してしまうと、読み上げ音声に、遅延している配信で流すミラーリングしたVRゲームのBGMが交じって聞こえてしまうので、音声読み上げの設定は2台目のパソコン(自分の場合はノートパソコン)に設定していきます。
棒読みちゃんの設定
棒読みちゃんのソフトを下記配信サイトからダウンロードします。
最新の「棒読みちゃん Ver0.1.11.0 β21」2020/12/24 UPをクリックしダウンロード。※21/05/06時点
ダウンロードしたZIPファイルを解凍し、ファイル内の「BouyomiChan.exe」を選択し棒読みちゃんを起動させます。
初回確認で様々な確認が表示されますが、2回目に表示される「クリップボード監視プラグイン」の有効確認だけ「はい」を選択してください。
ポイント
間違えて設定してしまった場合でも、「その他タブ」のプラグイン項目内で再設定がおこなえます。
音声合成タブの「クリップボード監視の有効」ボタンが有効になっているのを確認します。
ツイキャスコメントビューアーの設定
ツイキャスコメントビューアーのソフトを下記配信サイトからダウンロードします。
ダウンロード項目にある最新の「ver 1.17.9.8」をクリックしダウンロード。※21/05/06時点
ダウンロードしたZIPファイルを解凍し、ファイル内の「TwitCasting_CommentViewer.exe」を選択し起動させます。
起動後に表示される「アクセストークン入力ボックス」の(1)に記載のURLをクリックしアプリ利用の許可を行います。
許可をおこなうと文字列のアクセストークンが表示されるのでコピーした後、(2)項目のアクセストークン入力欄に貼り付けしOKボタンをクリックします。
「ツール」項目にある「棒読みちゃん読み上げ(β)」をクリックしチェックをいれてください。
ポイント
この設定は保存されないので配信する際にはその都度起動しチェックを入れてください。
「設定」の読み上げ項目にある「投稿者の名前も読み上げる」にチェックをいれ、通信方法がクリップボードになっているか確認してください。
ツイキャスコメントビューアーに自枠のツイキャスを設定
設定が完了したら、ツイキャスの自分の配信ページに移動し、URL横の鍵アイコンをツイキャスコメントビューアーにドラッグ&ドロップすることでコメントビューアーに自枠のコメントが反映され設定することが確認できます。
設定と連携が問題なくできていれば、ツイキャスでコメントがあった際に自動的にツイキャスビューワーにも反映され、それを自動的に棒読みちゃんがコメントを読み上げてくれるようになります。
Step4.一眼カメラ(Webカメラ)の配信設定
VRで自分がプレイするスペースを準備し、それに合わせてミラーレス一眼レフカメラを設置します。
パソコンに一眼レフカメラの映像を取り込みWebカメラとして使うためにはHDMIキャプチャーボードが必要となります。自分が使っているキャプチャーボードはこちら。
一眼レフカメラに対応のHDMIケーブルを使いキャプチャーボードに接続し、配信用PCに接続します。
正しく認識していれば、OBS Studioの「ソース」から「映像キャプチャーデバイス」を選択後キャプチャーボードのデバイスを選択することで一眼レフカメラで映している映像をOBS Studioの画面内に設定することができます。
ポイント
映像の表示領域を縦長にしたりとトリミングしたい場合は、選択後に四方に表示される赤いドットを【ALT】キーを押しながらドラッグすることで調整することができます。
一眼レフを接続する詳細については下記の記事で紹介しています。
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Step5.グリーンバッグを使ったクロマキー合成の設定方法
Zoom配信などで有名な背景を透過させるクロマキー合成をおこなうためにはグリーンバックを準備する必要があります。
スタンド付きでどこでも自立して配置できる便利なグリーンバッグセットも比較的安くAmazonで販売されています。
しかし今回自分は上部に棒が差し込めるタイプのグリーンバッグの布だけ購入しました。
その後100均で購入した突っ張り棒を差し込み、クローゼットの上部にフックを取り付けそれに突っ張り棒を設置することで取り外しが簡単におこなえる背景セットが整いました。
OBS Studioでのクロマキー設定はかなり簡単で、Step4で設定した映像キャプチャーデバイスを右クリックし、フィルターを選択します。
エフェクトフィルター内のプラスマークを押し、「クロマキー」を選択。
色キーの種類を「緑」に設定することで一眼レフカメラで映しているグリーンバッグが透明な背景となります。
ポイント
その他の設定は既定値で問題ありませんが、緑背景のしわなどがうっすら表示される場合などは類似性を触ることで調整できます。
設定完了!ライブ配信をやってみる
これで配信するための設定は完了しました。
MetaQuest2を立ち上げ、リアルタイムのゲーム音を自分だけが確認できるように片耳だけにQuest2本体と設定したBluetoothイヤホンを装着します。
ポイント
MetaQuest2にはイヤホンジャックも付いているので有線のイヤホンでも大丈夫です。動きが多いゲームだと外れやすいですが…。
コメント確認用として設定した音声読み上げ用パソコン(2台目)と接続したBluetoothイヤホンを反対側の片耳に装着します。
その後外付けマイクを音声が入りやすい場所に設置し、OBSで音量の全体バランスを調整した後にOBS Studioの「配信開始」ボタンを押すことでMetaQuest2のVR画面とプレイ中の自分を映しながらの配信をすることができます。
実際に設定してみての感想や設定のポイント
実際に設定をしてみて発見したポイントや感じた注意点についてまとめました。
発見したポイントや注意点
- パソコンから音が出ない場合、「設定」の音声でデスクトップ音声が設定されているかを確認
- パソコンから音が出ない場合、ミラーリング表示されているChrome画面でミュートになっていないかを確認
- ミラーリングのブラウザの表示は最大化で表示した後にOBS側で表示設定をする
- ミラーリングできないQuestのアプリあるので注意(特に動画関連)
- 音量の全体バランスの調節が難しいので要調整。デスクトップ音声よりマイクの音のほうを大きめにする
- コメントの反映がないと正常に配信できているかわからないので都度チェック
最初に設定した時には当初の計画では上手くいかなかったり、接続が上手くいかなかったりとセッティングにかなり時間を使いましたが、一度実装ができたらOBS Studioの設定内容をシーン登録してしまえば次回以降は思ったより簡単に配信ができるなと感じました。
あと実際に配信をしたら「何やってるの!?」と驚かられたり「VR面白そうだなぁ!」と良い声も聞けたので新しいアプローチの配信をしたい方にはおすすめだと思います。
まとめ
MdtaQuest2のVRゲーム配信をツイキャスでライブ配信する方法についてまとめてみました。
「面白そうだけどこれ本当にできるのか?」と興味本位で調べて生配信が行えるよう設定してみましたがどうにか上手くできた結果となりました。
今回はツイキャスの例で紹介しましたが同じ方法でYoutubeなど他の配信サービスでも使えると思います。
MetaQuest2の登場でVRゲームはさらに活発になるのが予想される中で、VRゲームのライブ配信をしている人はまだ少ないとは思うので今後需要は増えていくんじゃないのかなと思ってます。
設定の手間を減らしたり、さらに簡単に、機材も少なくする方法もあるとは思うのでまた新しい配信方法や設定などがわかったら追記していこうと思います。
OBS Studioで一眼レフなどを使って配信する方法はこちらの記事でもまとめてます ライブ配信、日増し月増し年増しに流行ってますよね。 ツイキャスやYoutubeなどの動画・ライブ配信サービスがありますが、年々ネットの回線速度が早くなるのに合わせて動画でのコミニュケーションはより活発 ... 続きを見る
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