ストロボ撮影をしていると「X-Proのようなコマンダーは欲しいけど、それだけのためにこの価格は….」「コマンダーが故障した時の予備が欲しい」「手持ちライティング用の小型ストロボも同時に欲しい」といった悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
いままでは専用コマンダーとストロボを別々に購入する必要があり、機材が増えてコストも増えてしまうという課題がありました。
そこで注目したいのが、Godox(ゴドックス)から新しく発売されたiT30 Proです。この製品の最大の魅力は、高性能なコマンダー機能にストロボが付いている点です。
ポイント
・X-Proのようなコマンダー機能を内蔵
・GN15のストロボとしても十分実用的
・コマンダー専用機より安価で一石二鳥
・TTL対応でストロボとしても本格的
・タッチスクリーン搭載で操作性も抜群
今回は実際にiT30 Proをコマンダーとしても、ストロボとしても使用して感じた魅力と注意点について、詳しくレビューしていきます。特に「コマンダーが欲しいけどストロボも欲しい」「機材を減らしたい」と考えている方にはまさにおすすめの機材ですよ。
目次
01. Godox iT30 Pro 概要
iT30 Proは、コマンダーとストロボの機能を一台にあわせた便利なカメラ機材です。
手のひらサイズで箱型のコンパクトなものとなってるので、最近のミラーレスカメラに装着しても収まりが良いサイズ感です。
コマンダー視点でのポイント
専用コマンダーのX-Proと比較しても、基本的な機能としてはあまり遜色がありません。Godox 2.4GHz Xシステムを完全搭載しており、3グループ(A、B、C)の制御、32チャンネル、99のID設定が可能です。
「コマンダーを買おうと思っていたけど、どうせならストロボ機能も付いている方が良い」と考える方には、まさにうってつけでおすすめな選択肢と言えます。
ストロボ視点でのポイント
当然ながら、ストロボとしての使い勝手も十分に考慮されています。ガイドナンバー約GN15という光量を持ち、TTL自動調光やハイスピードシンクロなど、本格的な機能を備えています。
バッテリータイプでType-C給電にも対応しているため、気軽に充電できることから長時間の撮影でも便利です。最大560回のフル発光が可能で、一日の撮影を通して安心して使えます。
付属品として収納袋、充電ケーブル、クリーニングクロスが同梱されています。持ち運びする機会が多いので収納袋がついているのは嬉しいですね。
いままでのGodoxエコシステムでは、コマンダーとして「X-Pro(約15,000円)」、小型ストロボとして「TT350(約15,000円)」などがありますが、iT30 Pro一台でこの両方の役割を果たせます。機材の統合により、バッグの中もすっきりし、持ち運びの負担も軽減できます。
Godox iT30 Pro 製品仕様 | |
ガイドナンバー | GN15(ISO100,1m) |
電源 | リチウム電池7.4V / 900mAh + Type-C給電 |
発光回数 | 最大560回(フル発光) |
重量 | 約120g |
サイズ | 約65×46×47mm |
通信距離 | 約100m |
制御システム | TTL Auto Flash, Manual Flash |
対応メーカー | Canon、Nikon、Sony、Fujifilm等 |
【参考価格】
- 12,000円~15,000円程度
※価格は参考値です。最新の価格は各販売サイトでご確認ください。

※上記のリンクはSONY対応のモデルとなります。
02. TTL対応の小型ストロボの実力
iT30 Proの魅力は、最大560回のフル発光が可能なバッテリー持続力と、わずか約120gという軽量でコンパクトな設計にあります。
一般的なクリップオンストロボが300g以上あることを考えると、その軽さは持ち運びに大きなメリットです。
多彩な撮影モードに対応
TTL自動露出制御はもちろん、1/8000秒のハイスピードシンクロにも対応しています。これにより、明るい屋外でも絞りを開けてボケを活かした撮影が可能になります。
マニュアル発光では1/128から1/1まで細かく調整できるので自由に明るさを調整したい撮影にももちろん対応できます。スローシンクロ、後幕シンクロなど、表現の幅を広げる機能も充実しています。
再設計されたホットシューマウント
いままでのストロボと異なり、クイックリリースフットを採用しています。従来のダイヤル式と違い、ボタンを押しながらの取り外し方式で、装着が簡単で素早い着脱が可能です。
購入時にはコネクタ部分にカバーキャップもついていますが、これの脱着も簡単になるので便利で良いポイントです。

内蔵ディフューザーの活用
サイドのレバーダイヤルで内蔵ディフューザーの展開が可能です。硬い直射光を柔らかく拡散させることで、広い範囲に光を当てることができます。
簡単に展開できるのもありポートレート撮影では特に重宝する機能です。
03. タッチスクリーン対応 モード切り替えもスムーズ
iT30 Proの最大の特徴の一つが、フルカラータッチスクリーンの搭載です。最近、小型ストロボでもタッチスクリーンを採用した製品が増えてきており、操作性も大きく向上されてると言えます。
直感的なタッチ操作
設定変更はタッチ操作で簡単におこなえます。発光量の調整、撮影モードの切り替え、ワイヤレス設定など、すべてがタッチパネル上で完結します。暗い場所での撮影でも、明るい画面で設定を確認できるのは実用的です。

従来のボタン操作も残されており、ダイヤル操作も使いやすく便利に設計されています。タッチ操作に慣れない方でも、物理ボタンで確実に操作できます。
メニュー構成の分かりやすさ
各種機能へのアクセスが簡単で、階層の深いメニューに迷うことがありません。
ID設定やチャンネル設定も直感的におこなえ、複数のストロボを使ったライティングセッティングもスムーズです。
画面の明るさ調整機能もあるため、バッテリー消費を抑えたい場合や、周囲に配慮したい撮影環境でも使いやすくなっています。
04. コマンダー内蔵でオフストロボ・多灯ライティングにも対応
ここがiT30 Proの最大の魅力です。専用コマンダーと同等の機能を小型ストロボに内蔵することで、撮影現場での使い方の幅を広くすることができます。
X-Proと同等のコマンダー性能
Godox 2.4GHz Xシステムを完全搭載し、マスター・スレーブの両方のモードに対応。3つのグループ(A、B、C)を個別に制御でき、各グループの発光量、モード設定を独立して調整可能です。さらに、iT30 Pro自体も他のストロボと連動して同時発光できるため、キャッチライトとして使ったりと最大4灯でのライティングもおこなえます。

コマンダー専用機としての活用法
実際の撮影では、iT30 Pro自体の発光をオフにして、純粋にコマンダーとしてのみ使用することも可能です。複数のAD200やAD100を制御する際も、X-Proと同じ感覚で操作できます。
「コマンダーとして買ったけど、補助光が必要な時はストロボとしても使える」という柔軟性は、撮影現場での対応力が大きく広がるので助かります。

予備コマンダーとしての安心感
メインのコマンダーが故障した際の予備機としても優秀です。実際に以前、イベント撮影中にX-Proを装着したカメラを持ち歩いている時、人とぶつかった弾みでコマンダーが破損してしまい、突然すべてのストロボが使えなくなってしまった経験があります。
このような予期せぬトラブルは撮影現場では珍しいことではなく、重要な撮影であればあるほど、予備機の存在は心強いと言えます。
iT30 Proなら、メインコマンダーが故障しても撮影を継続できるため、撮影現場での安心感は高まります。
明日は我が身、という事もあるのでコマンダーが1台しかない方にはiT30 Proはかなりおすすめです。

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05. 街歩きポトレなどで手持ちでも使いやすい勝手の良さ
小型軽量の設計により、手持ちでの自由な角度調整をした撮影も非常にやりやすいです。
X-Proなどのコマンダーと組み合わせれば、カメラから離れた位置で手持ちライティングが可能です。
街歩きポトレートに最適
街中でのポートレート撮影では、大型のストロボは目立ちすぎて使いにくい場合があります。iT30 Proならその点でもクリアしています。
またストロボの用途としてのが強いですが、同じようなコマンダー機能が付いているGodox V480と組み合わせて、正面と横からなど2灯の撮影も自然におこなえます。

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自撮り棒などのアクセサリー取り付け時の注意点
これは少し残念な点ですが、自撮り棒でも使いたいと思い、ホットシューと三脚穴を変換するハクバのシューアダプターを使ったところロックされずに装着できませんでした。
また一般的なストロボに付属している机や地面などに置ける足パーツも同じ用にロックされずに外れてしまいます。
ネジ式ではない、クイックリリースフットになったことのマイナスなポイントといえるので、汎用的なシューマウントとの互換性には注意が必要です。
06. ズームレンズ、大型レンズだとケラレるので注意
iT30 Proを使用する際に最も注意すべき点が、大型レンズとの組み合わせ時のケラレです。実際に撮影して検証したところ、以下のような現象が確認されました。
確認されたケラレの具体例
- α7IV + 24-70mm F2.8 GM II: レンズの大きさで光がケラレる
- Sigma 35mm F1.4: 大口径レンズでもケラレを確認
- Sony SEL55F18Z: コンパクトサイズではケラレなし
対策と推奨レンズ
Sony SEL55F18Zなどのコンパクトなサイズであれば、ケラレは発生しません。クリップオンストロボとして使用する場合は、コンパクトレンズとの組み合わせを前提に考える必要があります。
また、マウント部分に高さがないカメラでもケラレの可能性があるため、事前の確認をおすすめします。
ケラレはクリップオンで使った際の問題なので、もちろんオフカメラでの使用であれば問題ありません。用途や機材に応じて使い分けることで、iT30 Proの性能を活用していくのが大事ですね。
07. まとめ
Godox iT30 Proは、「コマンダーが欲しいけどストロボも欲しい」という撮影者の願いを叶えた便利な機材です。いままでなら専用コマンダーとストロボを別々に購入する必要があったものが、一台で済むという利便性は大きな魅力です。
使用シーン別ポイント
・コマンダー用途:X-Proの代替として複数ストロボを制御
・コマンダー + ストロボ:メインライト制御しながら補助光も提供
・手持ちライティング:軽量性を活かした自由度の高い撮影
・予備機として:メインコマンダーの故障時のバックアップ
・街歩きポートレート:コンパクトで目立たない本格ライティング
・商品撮影:手持ちでの細かなライティング調整
特に注目すべきはコストパフォーマンスの高さです。X-Pro(約15,000円)とTT350(約15,000円)を個別に購入すると30,000円程度かかりますが、iT30 Pro一台なら半額ほどの価格で済みます。
1台でまかなうものでもないと言う側面もありますが、ストロボとして、コマンダーとしてと使い方を選ぶことができるので、非常にお得な選択肢と言えるでしょう。
こんな方に特におすすめ
・コマンダーの購入を検討しているが、ストロボ機能も欲しい方
・機材をできるだけ少なくまとめたいミニマリスト志向の方
・予備のコマンダーとして、ストロボ機能付きのものが欲しい方
・初めてのオフカメラライティングに挑戦したい方
ただし、大型レンズとの組み合わせ時のケラレには注意が必要で、クリップオン使用時はコンパクトレンズとの組み合わせを前提に考える必要があります。
「1台2役の便利さ」と「コスパの良さ」を求める方には、間違いなく満足できる製品です。ストロボ撮影の機材選びで迷っている方は、ぜひ検討してみてください。
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